NIWA MAGAZINE

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青の導く場所 vol.2 文/安部 太一

青の導く場所2

”still life”

 

 

時々ろくろの手を止めて、工房の前を流れる河を眺める。
春から夏にかけて、風の無いよく晴れた日、水面は鏡になって、青い空や白い雲、水際の樹々や緑草を映してとても綺麗だ。

 

 

水鳥が飛沫をあげて水面に下りる。
美しいと思う。

 

 

ろくろの上で形を作り、ここで完成だと判断して一連の作業を終える。
その時の判断の根拠は自分の中にあるようで、実は自然の中に”圧倒的な答え”のようなものが存在していて、僕はそこへただ寄り添っていくだけなのではないか、その精度を高めていくだけなのではないかと、そんな感覚を持つ。

 

 

2月12日、会期終了間近のジョルジョ・モランディの展覧会を見に、兵庫県立美術館へ出掛けた。モランディは20世紀イタリアを代表する画家、日本では17年ぶりの展覧会だそうだ。「色彩と形態とが繊細に響きあう静かで瞑想的な絵画世界」と紹介文にある。

 

 

ルイジ・ギッリがモランディのアトリエを撮った写真も僕は大好きだけど、
モランディ自身の描く絵はやっぱり、とてもとても良かった。
日常、景色、光、何気なく置かれた(ように見える)瓶、影、
画家の心の眼を通して描かれる絵の中で、それらは紹介文にある通り、
本当に繊細に響きあっていた。そして深い情感が内包されている。

 

 

僕は自然という人が作り出すことのできない領域に”美しさ”の答えを予感しながら、比べてしまえば小さくも思える、その画家の心の営みに、強く強く魅かれる。

 

 

時としてクールに答えを突きつけてくる自然と、不確かな、繊細な、心の中にある情感や温度。

 

 

微妙なバランスの先に、僕の作ることへのベクトルがあるような、
そんな気がする。

 

 

モランディの展覧会を見た後、僕は余韻に浸りながら、
そのまま自分の個展のある尾道へ向かう。
尾道に滞在中、14日には春一番が吹いた。

 

 

ゆっくりゆっくり、
季節は春へ。

 

 

安部太一(陶芸家)

1975年 島根県生まれ
2001年 陶芸をはじめる(父・安部宏に師事)
2006年 個展等、活動をはじめる
2010年 独立、現在は島根県松江市にて制作
http://taop410.com/