「12ヶ月の星ごよみ」vol.16 雨水 文/若杜 知美
vol.16「雨水」 2017/2/18-2017/3/
太陽が一年の巡りを終える一ヶ月
2月18日に暦は「雨水」へ
星の世界ではうお座へと太陽が足を踏み入れます
「雨」と「水」
梅雨を連想するような名づけですが
冬から春へと陽気を発しながら
雪や氷がとけゆき
雨や水になることからきており
乾燥した空気が次第に潤いを帯びてくるこの時期は
「水」を象徴するうお座のエネルギーに満ちています
大気も水を含み
霞がたなびきはじめるころ
京都のあちらこちらを
梅の花がピンク色に染め上げていきます
26日にうお座で迎える新月
日本からは見えませんが
みずがめ座の季節の月食につづく金環日食で
次にはじまる時間へと続く
大きな節目のひとつ
水はいかようにも形を変えて
うねりながら自由に動きます
こうであるべきというしがらみを越え
さまざまな想いがまじりあいながら浄化され
ひとつになっていきます
あたたかな春の光が増えゆく中で
やわらかいヴェールをはずし
生まれ変わるかのように
魂から望むこと
もしかしたら自分も意識していないぐらい
ずっとずっと遠い昔から求めている願いへと
向かっていきます
それはあたらしい世界へうつりかわる
揺らぎの時間
あたたかくなったと思ったら
寒さが揺りもどったり
この季節の動きのように
わたしたちの内側も
行きつ戻りつ
でも確実に春の扉を開きにいこうとしています
3月に入り桃花神事が行われ
「啓蟄」を迎えます
まさに冬ごもりをしていた虫たちが
土の扉を押し上げて姿をあらわす頃
行き交う想いを確認しながら
ちょうどよいバランスを感じていきます
思い切ったやりとりをするからこそ
その奥にある大切なものが見えてくるような
キラキラとしたなにかを見つめる時間が
春先までつづきます
3月12日にはおとめ座で満月となり
まっさらなはじまりの時間の前に
自分自身を整えます
あたらしい時間で向かっていきたいところ
今までとは違った世界
寒さとあたたかさが入り混じった時間の中で
浮かび上がってきたことが
まとまりはじめ
さまざまな想いを癒していきます
春の光の量が増えながら
あらゆるものを包み込み
清らかにする一ヶ月
わたしたちの世界はなにかを分けていくことで
はっきりとした輪郭を帯びていきますが
この世界はどうやら
わけてもわけきれないものの方が多いようです
なにかとジブンを分けて得ようとするよりも
だれかに与えていくこと
春の霞のようにやわらかに
隔たりを越えていくことが
次に生まれ出る時間へと繋いでくれます
空気が切り替わっていく狭間の
桃花水が流れ出すスケールの大きな時間
すこしずつ春の色へと衣替えをするように
あたたかさの中でココロの内側も開いていきながら
流れのままに漂って
次回は「春分」
おひつじ座の時間にお会いしましょう
若杜 知美
ホロスコープセラピスト/ヨガ講師/ソムリエ
京都在住。
天体の流れを読むことや、ヨガやアーユルヴェーダを実践し教えることで、ひとりひとりが自然の一部であることを感じ、自分らしく生きる智慧を伝えている。また、京都坊主BARにソムリエとして従事し、わたしたちが暮らす日本の大地と自然の巡りによって育まれるワインを、造り手たちの想いとともに、日々出逢う人たちと分かち合うことを喜びとしている。
京都坊主BAR
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白川と雪柳