NIWA MAGAZINE

  1. exnibition
  2. trip

「12ヶ月の星ごよみ」vol.4 雨水 文/若杜 知美

20160219

 
vol.4  雨水  2016/2/19-2016/3/19
 
長い冬が去るとともに春がやってくるという確かさは
ただここに生きているわたしたちをそれだけで癒してくれます
 
そんな予兆を感じる「雨水」の2月19日
太陽はうお座のエリアへと旅をつづけていきます
 
うお座を象徴するのは
みずからを飛び込ませる「海」
それは「水」に分類される感情や
境界のない世界をあらわします
 
雪から雨に
氷から水に
形あるものが変容し流れだします
 
まるで土が脈を打っているかのように
大地はゆるみ潤いはじめ
蒸気が立ち昇ると霞がたなびきはじめます
 
ココロの奥にそっと横たわる悲しみや記憶が
ゆっくりとあたためられて溶かされ
そしてそれを繰り返すたびに解放されていくような
まさに三寒四温のような感覚が
内側からも実感として感じられるかもしれません
 
京都・下鴨神社に伝わるひな祭りの原型「流し雛」
身の穢れを人形に託し御手洗川に流す神事は
平安時代から今も変わらず
このゆらぎの季節に浮上する思いや記憶を流し
祈り続けてきたのでしょうか

 
3月9日は「日食」
この特別な新月は大きな変化をもたらし
長い期間をかけて分け隔てのない世界を構築していくのかもしれません
 
このあと見える釣り鐘のような
朧の春三日月は
そんな胸の内に溢れる水をすくってくれるようなやさしさで
すべてを受け止めてくれます
 
季節の変わり目はどこかぎこちなくてぐらぐらするような
まだ着慣れていない服を着るような不安定さがあるかもしれません
 
張り詰めたような空気がゆるみながら調整を繰り返す中で
空に美しく霞がたなびくように
カラダもココロもゆっくりと開かれ
内側から新しい動きがひろがっていきます
 
そして自分自身の中に
土を押し出す強さを備えたやわらかな新芽のような力が
備わり輝きはじめます
 
ちぢまる虫が土の中に届くあたたかい気配を感じて
穴の中から這い出してくるように
今まで慣れ親しんだ世界から飛び出し
それぞれの流れへとシフトしていきます
 
上賀茂神社の桃花神事や
三十三間堂の春桃会
あちらこちらで桃の花が笑みを浮かべると
人々の顔にもまた花のように笑みがひろがります
 
青虫が蝶に変身して舞い始める
まさに大きな変容のとき
誰に教えられるわけでもないのに
花や虫たちが自分の時を知るように
すでに備わる感覚を開き自然の導きに従っていきましょう
 
卒業や転身など
ふんわりとした自由が生まれ「間」を感じる時間
苦しみや痛み、切なさをもまるごと包み込む春の光が
自分の中に淡くやさしく広がる山々を照らし
恵みの風が吹きこみますように

 
 

若杜 知美
ホロスコープセラピスト/ヨガ講師
京都在住。
子供の頃から星の世界に興味を持ち独学で学び、
ヨガやアーユルヴェーダの講師として、星のリズムを自分自身の生活に
取り入れながら、自然の流れに寄り添う暮らしをテーマにしている。
「星とワインのおはなし会」「ムーンサイクルヨガ」など
天体のリズムを意識し、心や体が自然と調和するワークショップを開催。



 
 
photo
京都・下鴨神社
御手洗川に輪橋(そりはし)と光琳梅