NIWA MAGAZINE

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ワインと星と12ヶ月 vol.12「巡る」

20180219

 

2018/02/19-2018/03/20

 

 

まだひんやりとした空気の中に

まあるい陽射しを感じて

季節が動いていることを感じながら

 

2月19日 天体の動きの中では

一年のひとつの締めくくりの一ヶ月がはじまる

暦は「雨水」を迎え

太陽がうお座へと一歩を踏みしめる

 

剪定された葡萄たちは

厳しい冬の間眠るようにじっとしているけれど

ちょうどこの頃

枝の先から樹液が滴り

目覚めを告げる葡萄のなみだ

 

根っこから水分を吸い上げて

すみずみまでいきわたらせていくと

冬の寒さに緊張して硬くなっていた枝が

一本一本やわらかくなっていく

 

じっと過ごしながらも

その内側では春への準備がはじまっていて

よどみのない透明な空気のように

余分なものがすっきりとそぎ落とされた純粋なワタシ

 

そのまっさらな器の中にも

キラキラとした水が注ぎこまれていく

 

冬の間の静謐な時間

自由に思いをめぐらせる中で

覚悟を決めた本当の想い

純粋な雫が一滴一滴

蒸留器から抽出されるように

静かに落ちて

うつくしい波紋を広げていく

 

3月2日はおとめ座で月が満ちゆき

意識にのぼらないほどの

遠い昔の時間から繋がる深い想いが

泡のように浮かんでは消え

癒されて満たされて

やさしさに包まれていく

 

スープの海のように

そこにはいろんな想いが混じりあっていて

幸せも 哀しみも

喜びも 怒りも

溶けて 溶けて 溶けて

どれもワタシなのだと

それとひとつになるほど

深い傷も修復されながら

光の射す方向へと

自由に泳ぐことができる

 

湿り気を帯びた土から

虫たちが顔を出すように

少しずつ熱量も増しながら

春のはじまりまであとすこし

だけどまだ焦らない

 

3月17日はうお座で新月を迎え

古い鎧は脱ぎ捨てて

すみずみまで浄められ

まもなくはじまる巡りのために

春色の服を準備する

 

そしてココロにすこしずつ火が灯されると

それはなにごとをも成し遂げるチカラのもととなる

 

このうお座の巡りの一ヶ月を終えるころ

一年のはじまりの準備はちゃんとできている

 

すべての生き物たちが待ちわびていた

みずみずしい春の光が合図をしてくれるように

わたしの中の巡りのはじまりの景色が

そこには広がっている

 

 

+recommended wine+

 

NAKAZAWA VINEARD

KURISAWA BLANC 2016

 

北海道岩見沢で葡萄を育てる中澤一行・由紀子夫妻がつくるワインは、空から降りてきた音楽を味わわせてもらっているような、とても心地よい気持ちにさせてもらえます。この場所が空知、つまり「空を知る」と名づけられた土地であることも、偶然ではないような気がしてきます。お二人の代表的なワインがクリサワブラン。畑には約20種類の葡萄が育てられており、その年に収穫された10数種類の品種を一緒に混醸したもの。まさにこの栗沢の土地の一年の味わいをあらわしたものになるのです。

 

基本的に無化学農業での栽培のため収量は少なくなってしまうけれど、生き物たちが共存する豊かな生態系が育まれる畑で育った葡萄たちは、ワインになったあとも調和しながら響き合っているように感じられます。2016年は中澤さんのところに限らず北海道の葡萄栽培にとって非常に厳しい一年だったようですが、そんな中に生まれてきたワインだからこそ、このひと口に自然への畏敬と感謝の想いが溢れます。人間の力ではコントロールできない自然と向き合いながらご自身の信じる道を貫かれる生き方と、ワインを口に含んだときの包み込まれる優しさに、一年の命のめぐりのありがたさを感じる一本です。

 

 

 

 

若杜 知美

ホロスコープセラピスト/ヨガ講師/ソムリエ

 

京都在住。

天体の流れを読むことや、ヨガやアーユルヴェーダを実践し教えることで、ひとりひとりが自然の一部であることを感じ、自分らしく生きる智慧を伝えている。また、京都坊主BARにソムリエとして従事し、わたしたちが暮らす日本の大地と自然の巡りによって育まれるワインを、造り手たちの想いとともに、日々出逢う人たちと分かち合うことを喜びとしている。

 

京都坊主BAR

http://bozubar.tumblr.com