NIWA MAGAZINE

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五感で捉える vol.3 文/小川敦子 イラスト/西山ゆか

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「美しいもののうしろには、美しいこころがある」

 

浅川伯教

 

 

柳宗悦を東洋の美に目覚めさせた陶磁研究家、浅川伯教の言葉。ものの美しさを捉える力。それは、ものの裏側に秘められた、作り手のこころをどこまで感じ取ることができるか、にかかっている。デザイン、コンセプト、スタイル。私たちは、そうした「くくり」でものを捉えてしまうことが多い。でも、その「くくり」は一体、誰のためで、何のためなのだろうか。今一度、考えてみてほしい。特定の誰かのための利益、また、それを所有しているという自身のプライドのためになっていないだろうか。また、その「くくり」を持っているという、安心感だろうか。

 

本当にものと向き合うには、自分のこころが素っ裸になったような、なににもとらわれない、静かなこころが必要になる。そうして、自分の手元にある「もの」は、暮らしも、自身のこころもより豊かにしてくれるだろう。作り手が、なにかを純粋に考え、そして祈りをこめて作った「素」のもの。「素」と出会ったときのこころは、静かに震えてくるものである。

 

人の「手」こそが、「素」を生み出し、そして、本当の豊かさをもたらしてくれるのではないだろうか。

 

今回の、浅川伯教の言葉は、2011年9月の雑誌クウネルで特集された、スターネットの主宰者・故馬場浩史さんのインタビューより抜粋した。私自身は、実際にお会いしたことはないのだけれど、何かに迷いそうになるたび、この特集をいつも読み返すことにしている。読み返すたびに、発見があり、学びがある。「こころの部分さえ伝われば、眼に見えるものなんて本当はもういらないくらいなんだ」。こころの奥底に響く、馬場さんのメッセージ。

 

「美しいもののうしろには、美しいこころがある」。こころの眼で、ものを見る。

五感で捉えるということが、これからの暮らしを、もっと豊かにしてくれるように思うのである。