NIWA MAGAZINE

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南インド女性の手仕事 文・ミシュラ京子

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インドはとにかく広い。

 

土地の面積、人口、人種、宗教、年齢、言葉、文化、習慣、貧富の差、カースト、動物、植物、鉱物、ありとあらゆる物、事、人が混在する大きな壷。

 

同じ国民で有りながら全く言葉も通じない、顔も体格も全く違う人たちが普通に平和に暮らす国。

 

インド女性

 

そんな壷に奇跡的に一つにまとまったインドという国。ここには

世界中で起こっている様々な事が一つの国の中で見る事ができる。

とてもユニークででも一言では表現しようの無い混沌とした国でもある。

 

 

そんなカオス的なイメージを持つインドだが大都会の都市を除けば住民はいたって平和にのんびり暮らしている。

 

人口が多いという事は手仕事をする人手が沢山あり、ゆっくり時間をかけて

物を作り上げると言う事が出来る。

そして過去を振り返るでも無く、未来を心配するでも無く、今を生きている人々の手仕事は純粋で大きな安心感で包まれている。

 

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特に私の気に入った南インドでは自然や動物が近く、時間の流れもゆったりしているお気に入りの地域。

 

そんな南インドのタミールナドゥー州近くにあるポンデチャリーの村で石鹸をつくりはじめたのも5000年も前から伝わる伝承医学でもあるアーユルヴェーダを今でもごく普通に毎日の生活に取り入れて暮らしているインドの女性達に委ねたいと思ったからだ。

 

彼女たちの持ち物は気持ち良いくらいとても少ない。そして手仕事は実にのんびり、ゆったり。

アーユルヴェーダの薬草や花たちを摘んだり乾かしたり、混ぜたり、切ったり

昨日の事も明日の事も気にせずに、今自分のやっている事だけに目を向けて、

歌を口ずさんだりマントラを唱えながら自分の気分を穏やかに整えて手と口を動かす。

 

AmarmaSoap

 

重量や形といった規定にこだわる事よりも今手仕事をしている自分の気持ちや感情、その場の気を大切にする。綺麗な色や音、香りや形を目指す事を最優先するそんな手仕事である。

 

 

インドの手仕事で出来上がった服や布製品を裏返しにして縫い代の巾や完成度の高さをチェックしてはいけない。

 

表はキラキラとスパンコールが輝き、何千時間もかけて一針一針ビーズやミラーを使って仕上げた手刺繍の美しさ、織りや梳きの細かさ、まさに手仕事でしか表現できない美しさ。裏をめくると「こんなに手間暇かけて作り上げた作品なのだから仕上げもしっかりしなければもったいない」と私はいつも思う。

 

きちんと裏まで、見えない所まで完成度を高くする事が美しい仕事とする日本の技術や審美眼とはまったく異次元のところで同じく美を追求するインドの手仕事。

 

これもまた「いろいろ違う事が美しい」という大きな壷のなす技なのか。

インドでは作品の裏側までは誰も見ない。あえて見ないのかもしれない。

 

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規定や概念にこだわらず、ただ心から美しいと感じる直感を大切に、そして目には見えない気や安心、安らぎや楽しみ、そして美味しさを表現するのがインド女性の手仕事。

 

やはり一言では表現できないけれど南インド女性の手仕事はインド哲学の用に奥が深い。

 

 

 

ミシュラ京子
Amarma Ayurveda代表。インド家庭料理研究・実践家。
東京、秋田、仙台、名古屋、熊本、山口と日本各地さまざまな地で育つ。
インド人の夫と結婚後、インド・ボンベイへ渡り毎日がカルチャーショックな毎日を送る。その後カナダ・バンクーバーに移住し自然と心、体の癒しに目覚める。
現在は生活の場を日本に移し、17年間の印日ファミリーの生活の中で身近なアーユルヴェーダ的生活を送っている自分に気づく毎日。
アーユルヴェーダを通じたライフスタイルの提案として雑誌等にコラム掲載、インド・スパイス家庭料理のレッスンを開催。
Amarma Ayurvedaホームページ:www.amarmaayurveda.com