NIWA MAGAZINE

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香りを創る vol.1 文/Chikako

fuji

 

何気ない日々の暮らしの中で、ちょっとした変化や気付きの積み重ねは、生活を豊かにして行くと感じる。

 

東京育ちの私は、潜在的に自然との繋がりを求めていたような気がする。

 

何事もそうだが、いっぺんに片付く事は殆ど無いに等しい。やはり日々の積み重ねが大切で、その積み重ねが豊かさを生むのだと思う。

 

香りはそんなちょっとした幸せを少しずつもたらしてくれる自然からの最高の贈り物だ。香りの仕事に就いてから、生活臭も含む色々な「におい」を嗅ぐ癖がいつの間にかついた。市販の香水やアロマ製品を色々試すのもとても楽しいが、草花の可憐な香りや、今の時期だと家にある小さな梅のつぼみのふくらみをみながら、いまかいまかと開花と香りを待ちわびている自分に気づく。

 

itijiku

 

フランス・グラースで修行中、野山を歩き、自然の香りを日常的に肌で感じる事の大切さを教わった。スーパーに行く時も途中にあるイチジクやレモンの葉、藤やジャスミンなど、毎週同じ道を通っていても季節の香りを楽しむ事が出来た。右手には、買い物袋。左手には道の途中で取った草花を持ち帰る事もしばしばで、いつも何らかの草花が家にあった。香りの強い葉や花は、それだけで芳香剤になり、家に香りがある生活を実践していた。

それはそれはとても幸せな日々だった。

 

何か特別な事をするのでは無く、そういう何気ない日々の気づきとその積み重ねが、次のクリエーションの意欲へと繋がる要因の一つだと感じる事が出来たのは、やはりグラースの地が教えてくれたのだと思う。

 

 

Chikako

インセンスプロデューサー、クリエーター。

多摩美術大学で染織を学ぶ。その後テキスタイルデザイン事務所にてテキスタイルデザイナーとして従事。

2012年単身フランス・グラースにあるGrasse Institute of Perfumeryにて香料や香水の歴史、調香を学ぶ。2014年7月東京香堂Tokyo-Grasseの活動開始。

http://www.tokyo-kodo.com