NIWA MAGAZINE

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香りを創る vol.12 文/Chikako

TK_伽羅

 

伽羅

 

昨年、縁あってあるお香屋さんで伽羅の香りを聞く事が出来た。

香の世界では、「白檀」「沈香」「伽羅」の3種を香木という。

他にも“ 香りのする木 ”はあるが、香の世界ではこの3種が単体で鑑賞に耐えられるという。伽羅はその中でも最高級品で現在は入手困難になった代物だ。

 

香木は、同じ木から採取されても部位によって香りが異なる。どんな香りに出逢えるか。まさしく一期一会の瞬間だ。

 

伽羅は、1cmにも満たない小さな破片でも絶妙な火加減によって何時間も芳香を放つ。私はその小さな木片から今か今かと耳を傾けるように、まるで繊細な音楽を聴くように芳香が出る瞬間を静かに見守った。

 

時空を越え何十年、はたまた何百年前の香りであろうその伽羅は、上品に空間を包み、その小ささからは想像出来ない程素晴らしい香りが広がった。その香りを言葉で敢えて表現するとすれば、太古の森を感じ、時代を越え、深みと重みと品が同時に感じられる、そんな香りだ。その場の空間が異空間へと変わりそして時代も飛び越えたと感じた瞬間、香りの物語が始まり、森の奥深くへと歩を進めているイメージが自然と湧いた。

 

何百年、何千年と受け継がれてきた香りを通して、私は今生きている時間が交差し、過去も現在もそして未来ももしかすると私達が生きている時間軸はあってないに等しいと感じる程だった。

 

現代の私達は自然のサイクルから離れて生きている。でも自然のサイクルの中で生かされている事を改めて感じると、また別の世界がそこにはある。

 

 

Chikako
インセンスプロデューサー、クリエーター。
多摩美術大学で染織を学ぶ。その後テキスタイルデザイン事務所にてテキスタイルデザイナーとして従事。
2012年単身フランス・グラースにあるGrasse Institute of Perfumeryにて香料や香水の歴史、調香を学ぶ。2014年7月東京香堂Tokyo-Grasseの活動開始。
http://www.tokyo-kodo.com