NIWA MAGAZINE

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香りを創る vol.4 文/Chikako

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先日データを整理していたら、こんな写真が出てきた。 今から丁度3年前の8月上旬、自分達が製作した香りで、グラースの町並みを彩るプロジェクトだった。 私は始めてエアーミストを製作する事になった。

 

このプロジェクトは、Musée International de la Parfumerieが企画をし、私が通っていた学校とパリのファッション科の学生との共同で、グラースの町並みを一週間ごとにそれぞれ香りを変えて楽しんでもらう試みだ。(パリから来たファッション科の学生は、美術館内で展示)このお話を頂いたのが3月頃、約4ヶ月でこのプロジェクトを完成させなければいけなかった。 3人一組になってそれぞれテーマを選ぶ事になり、私達グループは、『Nature』を選んだ。 まず、どんな自然にしたいのか考え、個人個人そのテーマに合う素材を選んでディスカッションを重ねていった。キーワードは、水、木々、苔、花。イメージは、ミストのような滝の背後からホワイトフローラルの香り、例えばスズランのような繊細な香りが背後から垣間見え、滝の周辺には豊かな木々や緑がある、そんな香りにしようと決めた。 瑞々しい香りは、きっと真夏のグラースに合うのではないかと友人達と想像しワクワクした。勿論製作にあたってまだ右も左もわからない私達にこのプロジェクトは早すぎるのと、期日までにきちんとした香りが出来るか毎日皆不安で一杯であった。最終的に沢山の方から助言を頂いて何とか形になった時は、とても安堵した事を今でも覚えている。

 

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このプロジェクトを通して、毎日歩いていたグラースの町がこんなにも香りによって変わり、気持ちをほっこりさせてくれるものなのかと見習い中の私はとても感激した。 香りの世界で何が自分に出来るのか日々模索し、辿り着いたグラースで香りに携われる喜びを知り、そして香りが社会のお役に立てる事が出来るのだと知った。毎日毎日、同じ事の繰り返しの中で生まれる発見。そして香りの世界に触れる度、その奥深さにただただ気が遠くなる自分。様々な事に気付かされた。こうした気付きが無かったら、今頃違う道を歩んでいただろう。

 

誰もが知る偉大な調香師でさえ、今でも日々勉強で、同じ香りに触れていても新しい発見が常にあるのだと教えてくれた。これからも沢山の気付きを積み重ねていきたいと切に思う。

 
 

Chikako
インセンスプロデューサー、クリエーター。
多摩美術大学で染織を学ぶ。その後テキスタイルデザイン事務所にてテキスタイルデザイナーとして従事。
2012年単身フランス・グラースにあるGrasse Institute of Perfumeryにて香料や香水の歴史、調香を学ぶ。2014年7月東京香堂Tokyo-Grasseの活動開始。
http://www.tokyo-kodo.com