NIWA MAGAZINE

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香りと旅の記憶 文/小川敦子

smell

旅に出たとき、いつも行う習慣がある。
それは、その土地の空気を嗅ぐこと。
あらゆる場所で、あらゆる時間で。

韓国では、路地裏の狭い道を歩きながら、台所から漂う、幸せな香りを。伊豆の手前に位置する、真鶴の森を訪れるときは、静かで大きくてやさしい木々の香りや、ふかふかの土の香りを。Hawaiiでは、朝、公園を散歩しながら、朝露に濡れた花から漂う甘い香りを。

とにかく、ゆっくり歩いて、嗅覚で土地の空気感をとらえる。だから、私の旅の記憶は、その土地の香りのイメージと共に思い出されることが多い。その記憶は、日々を豊かなものへと変える力がある。

香りによって、「場」を感じ取り、理解しようとすることは、その土地と自分との距離がぐっと近くなる、大切な秘訣だ。