NIWA MAGAZINE

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食と人 vol.6 文/矢沢路恵

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清澄白河の街では三年に一度、大きなお祭りがある。富岡八幡宮例大祭、通称「水かけ祭り」と呼ばれるこの祭りは、深川の街中を55基の神輿が通り、水をかけあう。神輿も神輿を担ぐ人も、街を歩く人も水をかける人もみんなびっちょびちょになる。消防隊も出動しホースで水を噴射、お巡りさんも制服の上から水をかけられ、びちょんびちょんのまま街を歩く。

 

この祭りを体験したのは、二年前の夏のことだった。山食堂のある資料館通りが神輿巡回のコースに入っているため、嫌でもなんでも神輿が目の前を通る。それにひっついて何万人という人々が、神輿の後を追う。最初は、店の窓を締め切って、遠巻きに眺めていた。だが、しばらくすると、だんだん祭りに参加しない方が恥ずかしくなってくる。店のバケツやボウル、入れ物を何でも外に置いておくと、みんなこぞって水をかけあう。いつもは顔を合わせることのない近所のおじさんも、このときばかりはお互い笑い合って祭りを楽しむ。

 

いままで、下町というものに全くご縁がなかった。親戚がいるわけでもない、友人がいるわけでもない。かといって、違和感があり居心地が悪いわけでもない。はじめて来た人はみんな落ち着くといい、ここに住みたいとまで思う程だ。

 

そして、この街の人はみんな親切だ。人の事に興味がある。放っておくなどできない。何かあったときは、心配してすぐに駆け寄ってくる。また、噂もはやい。新しい店ができただの、あの店がつぶれただの、何かしようものなら、となり三軒向こう街まで知っているも同然だと思った方がいい。下町は歴史のある街だからこそ、親子三代、いやもっと前からご近所同士で助け合ってきたのだ。

 

平面上の世界では、実感できないことも多くある。特にこの街の喫茶へ入ると、自然と井戸端会議になる。会話が全て、ニュースだ。電子機器なんていらない、まるで役に立たない。情報なんてほんとうに必要なものは、ごく一部なのかなぁと思う時がある。

 

向いの和菓子屋のおばちゃんは、「私がここに嫁にきたころには銭湯があってね、クーラーも何もない時代だから、お風呂上がりに氷を食べたい人が多くきて、夜の11時までやってたんだよ。」と、かき氷が出てくるまでの間、昔の話しをしてくれた。近くのお寺に勤める常連さんは、「今晩17時半ね!」と、自転車で通りすがりに予約をしていく。同じ通りの居酒屋は入ったが最後、おじさんも若い子もみんな友達になる。鰻屋さんで持ち帰り用を注文してベンチで待っていても、全く苦にならない。蒲焼きの焼いた香ばしいにおいと、夏の午後のほどよい暑さが食をそそる。

 

地域の大将や女将が現役で頑張っているのを見ると、自分はまだまだだなあと感じる。歴史があって、人がいて、街ができたのだ。歩み寄る、という言葉の他にどんな言葉を思い付くだろう。だれかがひとりで頑張っているのではない。お互いに寄り添うこの街に、受け入れてもらう事が何よりの幸せだ。どんな方法にも、必ず人はいる。街づくりの基本は人なのだ。人が街をつくっていく。

 

粋というほど野暮はなし

 

これ以上に粋な言葉はあるだろうか。下町の人の言葉は、心をくすぐる。祭りの神輿を担ぐ音が聞こえる。さて、そろそろ祭りの準備をしようか。

 

 

写真は、美好のさつま揚げ焼き
山食堂、三軒隣りの美味しいさつま揚げやさん「美好」。野菜揚げ、深川揚げ、にくらし揚げなど、手づくりのさつま揚げの美味しいさは絶品。芥子醤油と日本酒をあわせてしっぽりと。「おでん種とさつま揚げの美好」東京の下町、深川にて60年造り続けてきた、おでん種、さつま揚げの店。美好のさつま揚げは毎日その日
販売する分のみの生産。
全品保存料、着色料無添加。
中に入れる具材もこだわり、通販でも購入可能。

〒135-0022 東京都江東区三好2-12-7

http://www.oden-miyosi.com/

※お中元、お歳暮時季は大変混み合うので、前予約が必要。

 

 

「富岡八幡宮例大祭」

富岡八幡宮の例祭は8月15日を中心に行われる。俗に「深川八幡祭り」「水かけ祭り」とも云われ、赤坂の日枝神社の山王祭、神田明神の神田祭とともに「江戸三大祭」の一つに数えられている。3年に1度、八幡宮の御鳳輦が渡御を行う年は本祭りと呼ばれ、大小あわせて120数基の町神輿が担がれ、その内大神輿ばかり55基が勢揃いして連合渡御する様は「深川八幡祭り」ならではのもの。2014年8月17日(日)に、祭りは最大の山場をむかえ、祭りが盛り上がる。※山食堂前の資料館通りを、神輿が通ります。16日はこども神輿、17日はおとな神輿。両日とも神輿が通るのは午前中のみ。(9時〜10時半くらいまで。)

 

 

 

★「デルベアのかき氷」

自然素材、無添加にこだわった 一日20個限定生産の手づくりバウムクーヘン専門店の「デルベア」さん。夏の期間のみ限定で、かき氷の出張販売を。氷にかけるジャムやソースも、もちろん手づくり。季節の果物をふんだんに使ったシロップは、夢のような美味しさ。今年の夏、富岡八幡宮例大祭にあわせ山食堂でデルベアのかき氷を販売。

 

8月16日(土)12時〜売り切れ御免

8月17日(日)12時〜売り切れ御免

 

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写真左上から

丹波大納言小豆・薄和三盆蜜・塩味のぶぶあられ

福岡産・減農薬栽培のあまおういちご

信州須坂の生アンズ・コンポート添え

京都・南山城村産の無農薬ブルーベリー

 

 

自然素材のバウムクーヘン デルベア

http://www.derbar.jp/

※手づくりバウムクーヘンのご注文はHPよりお申し込み下さい。

 

 

★「東京下町時間」猫沢エミ著

パリへの移住をきっかけに下町へ引越した、猫沢エミさんの下町案内。新旧問わず、下町の店とともにそのストーリーもあわせて紹介されている一冊。猫沢さんの視点で見た下町は、いつまでも残しておきたい歴史的なお店の記録として、または新しもの好きな江戸っ子の心意気にぴったりな、変わりゆく下町の水先案内書として読んでいただきたい。

発売元:パイ インターナショナル 定価:(本体1,600円+税)※山食堂掲載冊子。山食堂店内でも販売中。

 

 

 

矢沢路恵

都内数カ所の飲食店でサービスの仕事に従事した後、2014年より料理人であるパートナーの山谷知生とともに、山食堂を前店主より受け継ぐ。飲食店は生産者と消費者をつなぐ役割という考えで、全国各地に生産者をめぐる旅をしながら、日本の地域に伝わる特産を探索する。

 

山食堂

 

山食堂

完全に家庭料理の店(海のものもございます。)
〒135-0022
東京都江東区三好2-11-6桜ビル1A
電話・FAX 03-6240-3953

都営大江戸線・半蔵門線 清澄白河駅下車 徒歩3分程
深川江戸資料館近く
昼=12時〜15時 夜17時半〜21時半 ※不定休

fbページ
https://www.facebook.com/pages/山食堂/398470866947958