NIWA MAGAZINE

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器を作る。思考する。 vol.20 文/森脇靖

 

 

「実態」

 

 
エゴノキの花のつぼみが白く膨らんできた

製陶所周りの木々
建物を建てたころ裏の林に分け入り
一本一本掘っては移植し手をかけてきた。
根付き、幹を太くし季節ごとに変化する様子は
私の心をいつもほぐしてくれる。

 

冬、大雪に埋もれた幼樹を素手で助け出し、
無事であれば安堵し、折れていれば心から落ち込む。
この季節は展葉した葉に何時間も見惚れる。
一喜一憂もいいところ。
この愛着はどこからくるのだろうか。
真夜中、寝ている我が子らの姿に目をやる。
特に意識もせず、寝姿をぼうっと眺めながら、
もしこの子らの笑顔が二度と見られなくなったら、
会話ができなくなったら、と想像し胸が苦しくなる。
大切という気持ちはどこから湧き上がってくるのか。
手で直接つかむことができない「大切」は、
どこで生まれ、どこに存在しているのか私はいつも考える。

 

確かなのは、今この、目の前の
「もの」「ごと」に対する関心から全ては始まっているということ。
無関心ではないということ、心の底からの関心が、大切の根源であり、
愛という言葉で人間が括るものの実態ではないか。

 

 

 

森脇靖

陶芸家。島根県邑南町生まれ。松江高専卒業後、県の工業技術指導研究所で陶芸の基礎を学ぶ。さらに松江在住の陶芸家原洋一に師事。2000年に邑南町にて独立開窯。以降島根県内外で個展を重ねてファンを増やしている。使い勝手が追求されたユニークなネーミングの食器を手がけてきたが、数年前に地元の益田長石を配合した釉薬による独特な肌合いと色彩を完成させて以来、それに合わせて造形にも磨きがかかり、ほどよい緊張感を持った有機的で豊かなフォルムの花器、茶碗皿などを生み出している。

 

森脇製陶所
〒696-0314
島根県邑智郡邑南町岩屋1273-4
電話:0855-83-2177
web:http://morisei.net