NIWA MAGAZINE

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食と色彩、そして実験 vol.9 文/嶋田葉子

2016-05-03 12.40.00

 

今月の実験

新玉ねぎ  x  [ココナッツ+バニラ塩]

新玉ねぎとココナッツのジェラート

 

すっきりとした青空と若葉がまぶしい五月。

 

新しいページがはじまるかの様にに野菜畑にも“新“と名のつく物が続々と現れる季節でもあります。中でも採れたての新玉ねぎはとても瑞々しく、なんだか火を通すのがもったいない気がして生で食してしまうことが多いのですが、加熱すると更に甘味が増してとても美味。いつかデザート仕様にしてみたいと思いつつ実現されてこなかったので、これを機に旬の新玉ねぎ特有のフルーティーな甘味とそれを引き立てる塩やバニラとの組み合わせで実験することに。

 

新玉ねぎとココナッツ。白い色と甘い味。白い色の野菜は甘味をもつものが多い気がします。新玉ねぎにかぶやカリフラワー、ホワイトアスパラガス、にんにくもローストするとジャムの様に甘いのです。収穫したての新玉ねぎは通常の玉ねぎとは同じものとは思えない位に瑞々しく、思わずがぶりっとかぶりつきたくなるほど。まだ乾燥しきっていないその柔らかくて薄い外皮を剥ぐと顔をだすツヤツヤの白肌もまた魅力的。

 

同じくして白く甘い香りが人気のココナッツを組み合わせると、玉ねぎの持つ苦みの尖った香りがココナッツの甘い香りでふんわり柔らかくなり甘味を引き立てるにはぴったりのペア。新玉ねぎは甘味を最大に引き出すべくほんのり透明になるくらいに蒸し煮にし、あれば白ワインを少々。

 

蒸したての蓋を開けるとフワっとした蒸気にのって香るのは白ワインの香りが移った甘い新玉ねぎ。いつもは名脇役の玉ねぎが白ワインでこんなに上品な主役級になれるなんて。これをピューレにしてココナッツミルク,レモンの皮のすりおろしを合わせ、時々空気を含ませるようにかき混ぜながら2時間程凍らせると、ほんのりとした甘味のあるひんやりジェラートに。冷たくすることで玉ねぎ独特の香りもほとんど感じず、口に広がるフルーティーな新玉ねぎの甘味に改めて感心してしまいます。

 

labo85では常備している “バニラ塩”、を仕上げにパラリとひとふりするとまた違った一品に。新玉ねぎそのものの甘味と香りにココナッツとバニラの香りがあわさるとまるでスイーツを食べている感覚に。

 

そして後味にはほんのり感じる塩味とフレッシュなレモンの香り。脳内では甘い香りを認識しているのに味覚で残るのはしょっぱいという不思議な感覚が新鮮。お好みでレモンをきゅっと絞ったり、フレッシュなオリーブオイルを垂らすのもまた美味。前菜やサラダ代わりにもなりそうな一品に。

 

この“バニラ塩”は果物からお肉,お魚まで、その素材のもつまた違った一面を引き出してくれるので様々なシーンで活躍します。作り方はとってもシンプル。焼き菓子などで使用したバニラビーンズを削ぎ取った後の“さや”を岩塩と一緒に瓶に入れて保存しておくだけ。フルーツはもちろん、チョコレート、生クリームやヨーグルト、バターに少量加えるとバニラだけでなく塩が素材の甘味を更に引き出してくれます。また、ココナッツミルクを入れずに新玉ねぎのピュレにレモンを少々絞って同様に時々かき混ぜながら凍らせるとグラニテの食感が楽しめ初夏の前菜にもぴったり。

 

両極端の風味をもつ同士がバランス次第でこんなにも素敵なペアになることに改めて感心感心。それにしても、甘さと塩っぱさの同居にはなぜこんなに中毒性があるのでしょうか.....

 

 

旬の食材と色彩。

様々に試行を重ねながら、そこから受けるインスピレショーンに

自分の五感を忠実に織り交ぜ「美しい食」を生み出す

labo85の食の実験。

まだまだ、これからはじまったばかり・・・

 

 

 

labo 85/嶋田葉子 プロフィール

旬の素材を使った料理研究やケータリングを行う
「labo 85」主宰。国内海外のオーガニックレストランでの調理やケータリング、
インテリアショップでの勤務を経て現在に至る。期間限定カフェや
レストランメニューの開発など国内、海外問わず幅広く活動。
オリーブオイルソムリエの資格を生かしてさまざまな素材に合うオリーブオイルを
提案するメニューなども研究中。