NIWA MAGAZINE

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食と人 vol.12 文/矢沢路恵

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ひと月が12回で、一年。四季が巡り、また同じ季節がやってくる。二年前のこの季節には釜石に、一年前は金沢を旅した。どの季節が好きかと聞かれても、どの土地が好きかと聞かれても、私はどこへ行ってもたくさんの思い出を連れて帰ってくる。全ての場所と巡る季節に「食」と「人」があり、いつも何かに触れて持ち帰り、また思い出す。ああ、あの頃はよかった、とか、あのときが一番楽しかった、なんて一切思わない。いま、このときと行く先々の出会いに胸が高鳴る。誰に何を言われようが、いま、目の前にあることを大事にする以外、私には何もない。

 

完全に家庭料理の店、と先代より屋号をそのままいただき、二代目山食堂を受け継いでちょうど一年が経った。私らは、なんの変わりもなく家庭料理を提供し、この小さな店で毎日働いている。先代の店主は山食堂を創業する前、築地の豆問屋で働いていた。その店主が煮た豆の甘煮は、忘れられぬ美味しさ。ひとくち口にいれるとその豆の美味しさが体のすみずみに行き渡り、体全体が美味しさで満ちてくる。ああ、もう一口食べたい。何度もそう思わせる味だった。

 

季節はめぐり、またやってくる。
私らに出来ることは、いま目の前にあることを大事にすることだけ。
誰がなんと言おうと、おかまいなしだ。
寒い日に、あたたかいぜんざいを用意して。

 

 

 

写真は、いろいろお豆のぜんざい(山形産・玄米餅入り)
十勝、黒豆、大豆、白隠元豆、大将金時、レンズ豆、ひよこ豆。それぞれの豆を水で戻し一晩。豆がやわらかくなるまで下茹でし、7種の豆をあわせる。(豆によって茹で時間が違うので、別々に茹でてからあわせる。小豆、レンズ豆は水で戻さない。)砂糖で煮て、仕上げに塩で味を整える。いろいろな豆の旨味が凝縮して、美味。※山食堂で2月いっぱい売り切れまで提供中。

 

 

矢沢路恵
都内数カ所の飲食店でサービスの仕事に従事した後、2014年より料理人であるパートナーの山谷知生とともに、山食堂を前店主より受け継ぐ。飲食店は生産者と消費者をつなぐ役割という考えで、全国各地に生産者をめぐる旅をしながら、日本の地域に伝わる特産を探索する。

 

山食堂

山食堂
完全に家庭料理の店(海のものもございます。)
〒135-0022
東京都江東区三好2-11-6桜ビル1A
電話・FAX 03-6240-3953
都営大江戸線・半蔵門線 清澄白河駅下車 徒歩3分程 深川江戸資料館近く
昼=12時〜14時 夜=17時半〜21時 ※不定休
fbページ
https://www.facebook.com/pages/山食堂/398470866947958