NIWA MAGAZINE

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食と人 vol.37 文/矢沢路恵

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言葉にしないと目眩がして立っていられない程。言葉を吐き、言葉を吸う。言葉は呼吸で、その想いが胸に迫り、苦しくなる程。恋愛にも似た体験を、この夏、私はした。

 

 

いよいよ、はまさいさいオープンに向けての準備がはじまった、7月のはじめ。山食堂を一ヶ月休み、石巻に滞在し開店準備に追われた。とにかく目眩がして仕方が無い。打ち合わせをしていても、立っていてもふらふらとする。3月に目黒さんにお話をいただいてから、4月に視察をし、あっという間に夏前だ。考えてみたら数ヶ月ゆっくりと休んでいない。疲れもストレスもあるが、楽しみの割合がほぼ占めている。

 

備品や什器を揃え、店のカタチは定まってきた。あとは重要な浜のお母さん達の指導。なんせ、店で働くのがはじめてで、右も左もわからない人々に店で働く事をおしえる。食べ物を料理し、お金をもらう。このことがこんなに大変なことだなんて、誰にも予想がつかなかった。

 

まず、浜で住んでいる人は、浜のものを食べる。私は生まれてこのかた、海とあまり縁がなかった。親戚もみんな安曇野の山奥で、沿岸の生活を知らなかった。当たり前のことだが、山の人は山のものを食べ、浜の人は浜のものを食べる。石巻の牡鹿半島は海に囲まれた土地であるが故、海で獲れたものを食べている。いまそこで獲れたものが食卓に運ばれてくる。都会では目にする事のないその風景。海が近くにあるということは、そういうことだ。

 

浜のものは、いくらでも話しが出来る。むしろ茎若布の話しなどしたら2時間は喋っていられる。しかし、それ以外のものは全く知らない。今後、店を続けていくにあたり、誰もがおいしく食べられるごはんとお味噌汁との定食を提案していた。定食にすれば、家庭料理でお金がとれる。お母さん達で店を継続していくにあたり、メニュー案で困らないことも想定した。浜のものだけで果たして定食が成り立つのか、心の中では不安でいっぱいだった。

 

イベントやお祭りや、誰かの為や何かの為に。未来や希望や復興。周囲からの期待は大きい。どんなことも、地域があって、人がいて、はじめてそこから生まれること。自然に反してはならないと、先人の知恵が語ってくれる。一番大切なのは家族だ。その家族を大切にする人たちで守っていってもらいたい。

 

この店も、この土地も。

 

写真は、ホヤチーズ春巻き

石巻にはじめて視察に行った4月、運良く谷川浜のホヤ漁船に乗せてもらった。ホヤ漁師・渥美くんが船の上で獲りたてのホヤを手で剥いて差し出してくれたその味は、鮮度抜群の甘みと湧き出る唾液。いまその海で活きていた身をありがたくいただく。山食堂として牡鹿半島名産のホヤを気軽に食べられるメニューを試行錯誤の末、7月、8月が最も旬のホヤは、ホヤチーズ春巻きとして、はまさいさいに彩りを添えた。

●料理写真撮影/古里裕美

 

 

●はまさいさい 宮城県石巻市荻浜家前75 営業時間10:00〜16:00 ※不定休 tel/0225-98-7663

宮城県・石巻地域で9月10日まで開催されたリボーンアートフェスティバル2017 にて、山食堂がコンセプターを務めた牡鹿半島・荻浜の食堂「はまさいさい」は、51日間のイベント開催終了後も、継続して営業していきます。浜のお母さんたちがつくる家庭料理や豊富な魚介類の数々、荻浜の名産である牡蠣を楽しめる方法として山食堂がメニュー考案したカキーマカレーなどをお召し上がりいただけます。浜のお母さんたちの家庭料理を牡鹿半島の風景とともに、この土地と全てを味わいに来ていただけたら幸いです。

 

●NHK

Reborn-Art Festival 2017
ひと夏の軌跡を追った「明日へつなげよう・被災地×アート ~“復興支援”その先へ~」山食堂がコンセプターを務めた牡鹿半島・荻浜の食堂「はまさいさい」の密着取材が、10月23日までNHKオンデマンドで視聴出来ます。
https://www.nhk-ondemand.jp

 

矢沢路恵
都内数カ所の飲食店でサービスの仕事に従事した後、2014年より料理人であるパートナーの山谷知生とともに、山食堂を前店主より受け継ぐ。飲食店は生産者と消費者をつなぐ役割という考えで、全国各地に生産者をめぐる旅をしながら、日本の地域に伝わる特産を探索する。

 

 

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山食堂  完全に家庭料理の店(海のものもございます。)

〒135-0022 東京都江東区三好2-11-6桜ビル1A    電話・FAX 03-6240-3953

1A SAKURA Bldg,2-11-6 MIYOSHI,KOTO,Tokyo,Japan 135-0022

Phone Number:#81 3-6240-3953

都営大江戸線・東京メトロ半蔵門線 清澄白河駅下車 徒歩3分程
深川江戸資料館通り沿い・深川江戸資料館斜め向かい側交差点より五軒目

平日・夜=17時半〜21時半(ご予約優先)
土日祝・昼=12時〜売り切れ迄 夜=17時半〜21時半(夜はご予約優先) ※不定休

Open Weekdays  Dinner 5:30pm to 9:00pm *Prioritygiven to reservation
Open Weekend&Holidays  Lunch 12:00pm to Sold out Dinner 5:30pm to 9:00pm
*No fixed holidays

https://www.facebook.com/pages/山食堂/398470866947958