NIWA MAGAZINE

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食と人 vol.44 文/矢沢路恵

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食と人 vol.44

福島から石巻へ。

 

utsuwa gallery あんざいさんの25周年出張料理を終え、福島から東京に戻るよりそのまま石巻へ向かった方が交通費の負担にならず安く行ける為、数日分の身の回りの物と出張料理にまつわる道具一式、肩が外れる寸前の重い荷物を背負って石巻へ向かう。ちょうど時季となる梅シロップ仕込みに合わせ、9ヶ月ぶりの「はまさいさい」へ。

 

昨年夏のReborn-Art Festivalでお世話になった、石巻の人々に会う。懐かしさと優しさと思い出がいっぱいで、胸が詰まりそうになる。「はまさいさい」は山食堂として店舗のコンセプターを務め、メニュー提案、店内外イメージ、ユニフォームの色や店名を決めるところからずっと、一緒に歩んできた。この想いのある店に、愛情以外の何があろうか。

 

季節は6月、今年は全国的に農産物の実りが早く、昨年の白加賀梅祭りより10日ほど前倒しで梅の仕込みが出来る。その為、ちょうど滞在日と重なり、はまさいさいにて今年の梅シロップの仕込みに向かった。一年前に仕込んだ梅シロップは、昨年の営業で893杯も提供出来たとのこと。白加賀梅の甘くて酸味のあるジュースは暑い夏、沢山のお客さんの疲れた身体を癒してくれたのだと思うと、尚のこと今年もその先も、ずっとここで続けていきたいと思った。

 

この梅シロップをはまさいさいで提供したいと思った理由があった。3年前の茨城常総市での集中豪雨による鬼怒川堤防決壊、米の集荷時期に重なった前代未聞の水害により多くの住民や米農家が被害を受けた。まだ暑い9月の最中、レスキューに向かったお米農家やまざきさんの田んぼで復旧作業の中いただいたのは、ガラスの保存瓶に梅の実やスパイスがごろごろ入っている梅シロップだった。田んぼの小屋でプラカップに氷を入れ、梅シロップをソーダで割る。汗をだらだらかいて作業をする中、休憩の合間にいただいた梅シロップは身体に染み渡るようにすぅーっと喉の奥を通り過ぎていった。暑さと疲れもあってか、それはそれは極上のドリンクだった。

 

2017年にはまさいさいオープンに向けてのメニュー提案がはじまり、ドリンクやデザートを考案するも、宮城で名産とよべるものの中で数少ない唯一の果実が白加賀梅であることを知った。真っ先にお米農家やまざきさんの梅シロップが頭に浮かび、人が苦労して見出したレシピを簡単に教えてもらうのもどうかと思ったのだが、ものは相談とやまざきさんに伺ったところ、常総市の自然災害で大変な時にたくさんの方に助けていただいた、そういう形でお役に立てれば私達も嬉しいとそのレシピを活用してくださいとの有り難いお言葉で、お米農家やまざきさんの直伝レシピの梅シロップは、浜のお母さん達と一緒に仕込んだはまさいさいの看板メニューとなった。

 

津波で流された浜に出来た食堂はまさいさいには、いくつもの想いのあるメニューが並んだ。味やレシピは想いや繋がりで出来ているのだと思わずにはいられない出来事だった。

 

したたかに、周りに漂う梅の実の甘酸っぱい香り。一年、その12カ月の中で1日、また1日と季節がめぐり6月がまたやってくる。梅の実に皺がよる頃、静かにシロップの海から上昇し、今年も暑い夏がやってくる。

 

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●白加賀梅のスパイスヴィネガーシロップ

茨城常総市の水害でお米農家やまざきさんのレスキューに伺った際、汗をだらだらかいて作業をする中、休憩の合間にいただいたこの梅シロップは甘酸っぱい味の極上のドリンクだった。6月に収穫された梅で仕込み、シロップが出来上がる頃には暑い夏がやってくる。季節はめぐり繰り返す。

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【梅シロップの作り方】

梅酒用3〜4リットルの硝子瓶を煮沸、もしくはアルコール消毒をした後、完全に乾かして冷ます。洗ってヘタをとった梅1kg:砂糖1kg+スパイス(グリーンカルダモン、八角、シナモン、クローブなど)を入れる。※4Lの瓶に梅2キロ+砂糖2キロという仕込みも可能だが、空気層が少ないと砂糖の蜜がうまく絡まず、仕上がるまで時間を要する。仕込んでから2週間程は毎日1回以上、瓶をぐるぐる回して砂糖(蜜)を梅にまぶし、よくなじませるのが失敗しないポイント。※それをサボると、発酵したりカビたりする原因に。美味しい梅エキスを抽出できるよう、よく観察する事が大事。梅シロップに白い泡が出て発酵した場合は、天然醸造の良質なお酢をちょろりっと入れて1日様子を見る。※それでも発酵していたら、もう少しお酢を入れ様子を見る。3週間程で出来上がり。青梅で仕込むとシャキッと爽やかな風味に。木熟した梅は芳醇な風味に仕上がる。
 

写真/Maciej Piotr Komorowski

 

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はまさいさい

※2018年度5/26よりopen!!

石巻市荻浜字家前75

営業日 毎週土曜日・日曜日

営業時間 11:00〜14:30(L.O 14:00)

電話番号 0225-98-7663

 
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TRANSIT! Reborn-Art 2018 (トランジット・リボーンアート ニイゼロイチハチ)

◆場所 : 宮城県石巻市街地・牡鹿半島エリア

◆日時 : 平成30年8月4日(土)~9月2日(日)

◆内容 :<アート>「White Deer(Oshika)」名和晃平@荻浜*常設(不定休あり)

<食>「はまさいさい」@荻浜*「浜のお母さん」たちによる食堂営業

*「OPEN KITCHEN in はまさいさい」

食材や生産者との食のつながりを実感できるレストラン

※はまさいさいでの「浜のお母さん」食堂と「OPEN KITCHEN」の営業は交互に行われます。
 

◆イベント : 土日中心に延べ10日間程度開催

<食>「Reborn-Art DINING」@荻浜、いしのまき元気いちばなど

<音楽>「リボーンまつり」@中瀬日程 : 9月2日(日)…and more!

http://www.reborn-art-fes.jp/news/transit0606/

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2019年夏の本祭に向けて地域の方々とのコミュニケーションを深めながら、「アート」、「音楽」、「食」各部門でのプロジェクトを進めておりますが、来年に向けてのアートと音楽と食の総合祭「Reborn-Art Festival 2019」のプレイベントとして「TRANSIT! Reborn-Art 2018」(トランジット・リボーンアート ニイゼロイチハチ)を期間限定で開催。さらに、冬季の間お休みをいただいていた、「はまさいさい」が「TRANSIT! Reborn-Art 2018」に先立って5月26日にオープンし、浜のかざらない食生活を提供していきます。また不定期に「OPEN KITCHEN in はまさいさい」としてレストラン営業を実施します。

 
この「OPEN KITCHEN」プロジェクトは、提供する料理を通じて、使われている地域の食材の生産者や自然など、広くその地域とのつながりを感じていくレストランです。「White Deer (Oshika)」の展示、並びに「はまさいさい」の営業は「TRANSIT! Reborn- Art2018」の会期終了後も継続的に実施し、この地域に定常的に訪れる方を呼び込み、地元の方々との新しい出会いが生まれるきっかけを作る場として活動してまいります。その他の企画、イベントも牡鹿半島、並びに石巻市街地にて随時実施していきます。※また不定休となりますので、詳しくはオフィシャルサイト、SNS等をご確認ください。
 
 

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矢沢路恵
都内数カ所の飲食店でサービスの仕事に従事した後、2014年より料理人であるパートナーの山谷知生とともに、山食堂を前店主より受け継ぐ。飲食店は生産者と消費者をつなぐ役割という考えで、全国各地に生産者をめぐる旅をしながら、日本の地域に伝わる特産を探索する。

 

 

山食堂  やましょくどう yamashokudo

〒135-0022 東京都江東区三好2-11-6桜ビル1A    電話・FAX 03-6240-3953

1A SAKURA Bldg,2-11-6 MIYOSHI,KOTO,Tokyo,Japan 135-0022

Phone Number:#81 3-6240-3953

都営大江戸線・東京メトロ半蔵門線 清澄白河駅下車 徒歩3分程
深川江戸資料館通り沿い・深川江戸資料館斜め向かい側交差点より五軒目

夜=17時半〜21時半(ご予約優先)不定休

Dinner 5:30pm to 9:00pm *Prioritygiven to reservation *No fixed holidays

https://www.facebook.com/yamashokudo/