NIWA MAGAZINE

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食と人 vol.45 文/矢沢路恵

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マキちゃんとは当時、原宿にあったベトナムのカフェで一緒に働いているときに知り合った。同じ歳だったのでお互い話しやすく、面倒見のいい彼女は、まだ店に入ったばかりの私の事を何かと気にかけてくれた。もう20年近く前の事だったように思う。
 

天真爛漫でメリーゴーランドのよう、フルーツパフェみたいにワクワクし、ステンドグラスのようにキラキラと輝き、誰とでも仲良くなれる、世界中の全てのものが友達といったイメージが、私の中のマキちゃんの印象だった。彼女を知っている全ての人たちが、同じ印象なのではないだろうか。

 
数年後、絵を描いていたマキちゃんはフランスへ行ってしまった。旅立つ前、最後の日本でのパーティーに呼んでくれた時、何年も会っていなかったのによく私の事を覚えていてくれたなぁと思った。マキちゃんは優しくてあったかい。そういう子だ。
 

その後の活躍ぶりが凄まじかった。もともと素敵な絵を描く人だとは思っていたが、いまや世界のマキちゃんとなった。幻想的で美しい絵は、マキちゃんそのものを写し描いているようだった。色とりどりのゼリーが浮かぶフルーツポンチの夜に飛び込んでいったように、私自身が万華鏡の世界に吸い込まれて泳いでいる。はっと気づくと私はマキちゃんの絵の前で、まるで絵の中から出てきてここに立っているのではないかと思った。
 

今年の7月、個展の為に日本へ帰国したマキちゃんは、その日の夜に山食堂へやってきた。会うのは何年振りだろうか。フルーツポンチの夜が山食堂にやってきたと思った。和食を食べ、日本ワインを飲み、短い滞在期間に何度も山食堂へ足を運んでくれた。フランスのお土産から個展のDMから、マキちゃんの絵のマスキングテープから、手づくりのポストカードから、オリジナルのポスターから全てが愛おしく、マキちゃんのバッグの中から宝石を散りばめて、少しずつ宝物のお裾分けをもらっているようだった。

 
日本へ帰ってきて間も無く個展がはじまり落ち着く暇もない中で、彼女たちは西日本豪雨災害への支援金を募る為、チャリティ手ぬぐいを製作した。私も周りの人も勿論のこと、みんなの気持ちをぐっと動かした。行動に出るということは、注目も自然と集まる上に責任もついてまわる。何度も話し合いを重ねて、それでも前へ進んでいこうと踏み切った想いに、どこかで不安定だった私の心が救われた気がした。

 
昔からよく知っている仲で、彼女の事はよく知っている方だと思う。マキちゃんの進む気持ちのよい方向へ流れがある事を信じて疑わない。お互いそうなのだと思う。

 

マキちゃんのフルーツポンチの海でお菓子の舟に乗り、ジュースの波にゆらゆらと揺られ、真っ赤な果実の太陽に照らされた。今年の夏は、そんな夏だった。

 

写真は、岡山県総社市の白桃と愛媛県岩城島の無農薬ブルーベリーのパフェ
 

子どもの頃のワクワクと、大人になってからのワクワクは違うのだろうか。マキちゃんはずっと変わらずワクワクを持っていて、まわりのみんなもマキちゃんといるとワクワクする。まるでフルーツパフェのようだ。

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白桃はコンポートに。鍋に白桃、洗双糖と水、白ワインか赤ワインと国産レモン汁を火にかけ20分程煮る。煮汁は三分の一にゼラチンを入れジュレに。煮くずれた白桃は煮汁と共にバーミックスで混ぜ凍らせてソルベに。フレッシュブルーベリーは洗双糖を入れ鍋に火をかけ煮てコンフィチュールに。パフェにする際、ミューズリー、バニラアイス、ブルーベリーコンフィチュール、岩泉ヨーグルト、桃のジュレ、桃のソルベ、桃のコンポートの順に盛る。
 

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田中麻記子 MAKIKO TANAKA

1975年、東京生まれ。第12回岡本太郎芸術賞入選以来、2013年より文化庁新進芸術家派遣制度研修員を経て、今日までフランスを拠点に活動を行っている。ピエール・エルメ・パリ・ジャポン青山店のシンボル「Macaron Baby」のデザイン及びアニメーションの担当、資生堂『花椿』Web版にてパリの季節の食材をテーマにしたアニメーション&コラム「空想ガストロノミー」を連載するなど、田中独自の作品世界が幅広い層に支持され、アートシーンに留まらないフィールドで活躍するアーティスト。

8月3日より、新作作品集『Vu Vu』(HeHe刊)や、資生堂『花椿』と資生堂パーラーとのコラボグッズ(マスキングテープ、資生堂パーラー オリジナル金平糖)、さらにNADiffが手掛ける田中麻記子オリジナルグッズ(Tシャツ、iPhoneケース、ステッカーなど)が販売開始。

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田中麻記子の新作展覧会「Vu Vu」

会期:8月3日~9月9日

会場:ナディッフ ギャラリー(NADiff Gallery)

住所:東京都渋谷区恵比寿1丁目18-4 1F

http://www.nadiff.com/

【書籍情報】

田中麻記子『Vu Vu』

発売日:2018年8月3日

出版社:HeHe / ヒヒ

A4判 72ページ 仮フランス装

http://hehepress.com/

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◉書籍

Vu Vu

定価:3800円(税別)

HeHeのオンラインショップ

http://hehepress.com/vuvu/

◉展覧会

Lovu Forever

会期:2018年8月21日(火)-8月26日(日)

会場:森岡書店銀座店(東京都中央区銀座1-28-15鈴木ビル TEL 03-3535-5020)

時間:13:00-20:00

協力:資生堂・花椿編集室

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イラストレーターの塩川いづみ、田中麻記子が発起人となり、西日本チャリティ手ぬぐいを作成。大きな紙に、光、植物、生きものなど、テーマを決め、連想ゲームのように交互に書いていった絵を配置したオリジナル。

売上げは経費を除き、すべて義援金として、岡山県総社市の田中麻記子の友人を通してその繋がりのある知人たちへ寄付いたします。(詳細決まり次第)

初回生産分は下記店頭にて購入が可能。(店頭のみにて販売)1枚税込2000円

※1枚につき約1300円の寄付をしたことなります。

●à côté(アコテ)代々木上原

●パールブックショップ&ギャラリー 幡ヶ谷

●山食堂 清澄白河

●コシラエル 清澄白河

●円◎結 岡山

●NEW ALTANATIVE 鹿児島

●ソワ たまプラーザ

●NADifff 恵比寿

 
 
 

矢沢路恵
都内数カ所の飲食店でサービスの仕事に従事した後、2014年より料理人であるパートナーの山谷知生とともに、山食堂を前店主より受け継ぐ。飲食店は生産者と消費者をつなぐ役割という考えで、全国各地に生産者をめぐる旅をしながら、日本の地域に伝わる特産を探索する。

 

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山食堂  やましょくどう yamashokudo

〒135-0022 東京都江東区三好2-11-6桜ビル1A    電話・FAX 03-6240-3953

1A SAKURA Bldg,2-11-6 MIYOSHI,KOTO,Tokyo,Japan 135-0022

Phone Number:#81 3-6240-3953

都営大江戸線・東京メトロ半蔵門線 清澄白河駅下車 徒歩3分程
深川江戸資料館通り沿い・深川江戸資料館斜め向かい側交差点より五軒目

夜=17時半〜21時半(ご予約優先)不定休

Dinner 5:30pm to 9:00pm *Prioritygiven to reservation *No fixed holidays

https://www.facebook.com/yamashokudo/