NIWA MAGAZINE

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食と人 vol.57 文/矢沢路恵

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毎年、8月の第一土曜日は地元の花火大会の開催日にあたる。夏休みで寝坊し放題の枕元に、朝からドーンドーンと花火大会開催の知らせが街中に鳴り響く。寝ぼけた頭で毎年のように、目を瞑ったまま心の中でわくわくしたまま、布団の上でゴロゴロするのが夏の恒例。

 

いまもこの街に暮らしているので故郷と呼んだことは無いが、ここを離れられないのは日々の暮らしの中で当たり前に過ごした場所がいまでも気に入っているからに過ぎない。もしくは、他の場所で暮らす理由が見当たら無かったからだ。

 

子どもの頃から、この花火大会を毎年家族で観に行っていた。中学、高校生になってからは友人と。両親は地域の仲間たちと大所帯で宴を繰り広げていたので、現場で鉢合わせしたが最後、こちらの陣地までどんどん食べ物やらジュースやらがまわってくる。帰り道に出くわしたらば、地元の喫茶店でほぼ貸切状態の中でアンタ達、好きなの飲みなさいと、大人達に混じって中学生がミルクセーキで乾杯する。

 

荒川土手で見上げる花火は、芝生に寝っ転がってみるのが最高だった。地方や都会の花火大会とは違い、最初のうちは間隔がだいぶあいて打ち上がるので、待ちきれなくていつの間にか眠りこけてしまう。夜風が涼しく、川からの風も丁度良い加減で、歳をとってからは酒も入り、わざわざ花火大会の日に仕事休んで芝生の上で寝に行っているようなものである。終わり頃になると帰り道がとても混み合うので早目に切り上げてしまうと、終盤で大きな花火が上がる。いちばんの見所もよそに、いつも背中に大きな花火の光を浴びながら今年の夏も終わった気がしていた。

 

飲食店で働くようになってから、土日は必ずと言っていいほど稼ぎ時である為、売上を見捨て思い切って店を休んでまで花火を観に行く機会も無くなった。しかし、芝生の上で土手の風に吹かれながら花火見上げて缶ビール片手に寝たくなったら寝て、ふっと起きたら寝っ転がった目の前に花火がキラキラと広がっていて、真っ暗な中に沢山の人が周りにいて、みんなそれぞれの場所で家族や仲間たちと夜空に広がる綺麗な花火をみているその光景が何より好きだ。いつも頭に想像して全ての予定をぶち壊し、花火大会に行く為だけに休んでしまおうかと何度も頭をよぎる。いままでも、これから先の何十年もまたあの花火をみられる愉しみをとっておく心の余裕を持ち、また今年の夏の夜空に打ち上げられた荒川土手の花火を思った。

 

 

・ブルーベリーのヌガーグラッセ

 

夏のブルーベリーは、深い夜の色。打ち上がる花火の光線が夜空に舞い、ブルーベリーの粒々のように夜に消えていく。フレッシュブルーベリーと水、てん菜糖を鍋に入れ火にかけて煮る。冷めたら別のフレッシュブルーベリー、アイスクリーム、ナッツ、ドライフルーツをボウルに入れてよく混ぜる。容器に入れ冷やし固め、厚めにカットし溶かしながらゆっくりいただく。暑い日の夜、フレッシュフルーツを添えて、ワインのつまみにも最高。

 

矢沢路恵

都内数カ所の飲食店でサービスの仕事に従事した後、2014年より料理人であるパートナーの山谷知生とともに、山食堂を前店主より受け継ぐ。飲食店は生産者と消費者をつなぐ役割という考えで、全国各地に生産者をめぐる旅をしながら、日本の地域に伝わる特産を探索する。

 

山食堂  やましょくどう yamashokudo

〒135-0022 東京都江東区三好2-11-6桜ビル1A    電話・FAX 03-6240-3953

1A SAKURA Bldg,2-11-6 MIYOSHI,KOTO,Tokyo,Japan 135-0022

Phone Number:#81 3-6240-3953

都営大江戸線・東京メトロ半蔵門線 清澄白河駅下車 徒歩3分程

深川江戸資料館通り沿い・深川江戸資料館斜め向かい側交差点より五軒目

夜=17時半〜21時半(ご予約優先)不定休

Dinner 5:30pm to 9:00pm *Prioritygiven to reservation *No fixed holidays

https://www.facebook.com/yamashokudo/