NIWA MAGAZINE

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旅のはじまり

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そこは、森であって、森ではないような。福井・若狭のとある場所にある、水と緑と光の世界。青い森の情景。旅の連れがいう「ここは、日本というより、地球」。そう、まさにそんな言葉がぴったり。穏やかな風と鳥の鳴き声。しばらく、その空気感に自分を浸してみる。

 

とある音色を、森に響かせてみることにした。森に聴いてもらいたかった。一瞬、空気がしんと静まり返り、あちら側のたくさんのものが、耳をそばだてているのが、わかる。緊張が走ったのは、その一瞬だけのことで、音色は、そこにあるすべてと、ただただ、調和していった。音と空気が一体になる。耳をそばだてていたものたちの深い満足のため息が聴こえてくるかのようだった。ふかふかの気持ち。いまがずっと続けばいいという、幸福感。透明な気持ち。いつまでも身を浸していたかった。

 

どこでもなかった。 ここが、

われわれの居場所だった。

空の下。光る水。土の上。

 

長田弘の一編の詩が思い浮かぶ。

 

これから、新しい旅がはじまる。長い長い、かけがえのない旅が。

 

 

2015年12月7日