NIWA MAGAZINE

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益子の入り口

mori

 

 

ピアノの静かな音色がさらりと聴こえてきそうな情景。思いがけず、遭遇した雪。白く降り積もったばかりの森は、とても静かで、温かだった。きゅっきゅっと音をならしながら、まだ、だれも足を踏み入れていない、ふかふかの雪を一人、踏みしめる。コドモに戻ったように、ずっと絶え間なく、雪の森の入り口を歩いていた。

 

ずっと、会いたかった人がいた。でも、最期まで、会うことは叶わなかった。それでも、この雪のどこかで、森のどこかで会うのではないか、という期待だけを胸に抱えていた。きっと、この光のどこかで、会える。そんな希望を抱いて。

 

でも、その人は、私に大切なものをちゃんとギフトとして、残してくれていた。その人のスピリットが静かに眠った場所。そして、その人が大切な「何か」を授けた人たち。大切なギフトを、この手でしっかりと受け止めて、そして、今、私は、ちゃんとこの手元で温めている。とても静かに、大切に。

 

 

2016年1月21日