NIWA MAGAZINE

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大多喜の食

ootaki 028

 

千葉県房総半島にある、大多喜町。柔らかな風と光が注ぐ、その地に無性に訪れたくなるときがある。どうしても、あの空気感が必要になるときが、ふいにやってくる。体中の空気を入れ替えたくなる。私にとって、大切なリセットの場所なのだ。大好きなハーブ園、澄み切った川の水、土の匂い。行く度に発見があるというのも、旅の面白さで、つい最近、大多喜が食の宝庫であることを知った。「野菜の懐石を出す、すごくいい店を見つけた」という友人の魅力的なお誘いもあって、いつものおきまりコースを外して、お店に直行する。焼き茄子と自家製田楽味噌、ぶどうと新ショウガのおろし和え。次々と運ばれてくる、見た目にも美しい食を頂きながら、その野菜の味の濃さに驚いた。聞けば、ほとんどが地元の生産者によって、作られたものだという。この地の食に惚れ込んで、わざわざ移住してきた、という料理店のご夫婦。締めに運ばれてきた、有機米の玄米餅米。地元で採れるという大きな落花生と共にセイロで蒸された、その味に惚れ惚れし、生産農家さんを早速教えて頂く。

 

古い神社に隣接した、農家の一角にある販売所。生産農家の女性の方が農作業の合間に営む。採れたての果物や牛乳で作られた、濃密な味のジェラート。お米はもちろん、ジャムや卵など、美味しいものが並んでいる。全部、手作りだ。お米は、合鴨農法で作られた、完全無農薬。1キロからでも分けてくださる。その語り口も、ひとつも押し付けがましいところがなく、水のように澄み切った、気持ちのいい方だった。旬のブルーベリーたっぷりのジャラートを手にして、その場をあとにした。

 

2014年10月7日